最近思うこと
すでに各メディアなどで注目され当医院でも実施しております虫歯治療のsave-pulp法(セーブパルプ法)ですが、私がこの治療を始めさせていただいてから早や5年が経過しようとしています。
そして、現在ではかなりの患者様にも認識されるようになったのではと思っています。
「なるべく歯を抜かないよう努力し、それに専念する」ことはすべての歯科医師の義務です。
私の治療理念ははもう少し突っ込んだもので、
「なるべく歯と歯髄(歯の中の神経)を抜かないよう努力し、それに専念する」ことです。
歯髄を残すことは非常に重要です。そのことをもっと多くの患者様に認識していただきたいと思っております。
この「歯髄を残すことの重要性」はまた別の機会にもっと具体的にお話しさせていただきたいと思います。歯髄を抜いたがためにこんな結末に・・という事例が山ほどあります。
まず今回は「本治療のエビデンス(化学的根拠)」について。
少々、堅苦しいですがこれも本治療を少しでも多くの患者様に認識していただきたいという想いからですので何卒ご容赦下さい。
何よりも本治療を知らず、または誤まった認識から、他医院で抜髄(歯髄を抜く処置)を余儀なくされている患者さんがいらっしゃるかと思うと不憫(ふびん)でなりません。
「本治療のエビデンス(化学的根拠)」
まずお口の中に潜んでいる虫歯菌などのばい菌(口腔内細菌)は、95~98%が嫌気性菌(空気を嫌う菌)で残りが偏性嫌気性菌です。ちなみに好気性菌(空気を好む菌)はお口の中にはほとんど存在しません。
また、例えば細菌性の肺炎の治療法として抗生剤の飲み薬(内服薬)を使用することが一般的ですが、飲み薬の作用経路というのはまず薬が口から入り消化器官(胃・小腸・大腸)で吸収され、血管(血液中)に入り、全身へ流れて患部に到達して効く、というものです。
しかしこれは患部が軟組織の場合であって、虫歯は患部が歯という硬組織の中に潜んでいるため、薬を飲んでも届かないのです。
ですが、抗生剤を直接局所に作用させる(いわば塗り薬(外用薬))ことができれば良いわけです。
まず、岐阜大学の上野一恵 元教授らによって抗生剤のメトロニダゾール(商品名:アスゾール)が嫌気性菌を殺菌させることがわかりました。
次に、新潟大学の星野悦郎 教授らによって同メトロニダゾールによって口腔内細菌の99%が死滅し生育できないことがわかりましたが、残り1%の口腔内細菌が生育していたため、作用の異なる抗生剤を加えて実験を繰り返した結果、ミノサイクリン(商品名:ミノマイシン)とシプロフロキサシン(商品名:シプロキサン)を混合することにより100%の口腔内細菌に殺菌効果があることをつきとめられました。
さらに、タクシゲ歯科の宅重先生により、硬組織内(歯の中)での薬剤の浸透性を高めるため、塗り薬(外用薬)に使用されているMP(マクロゴールとプロピレングリコール)を基材として本薬剤を完成されました。
その後も、研究室での細菌培養実験や治療術式の裏付け実験・臨床成績の蓄積などを経て、虫歯治療のsave-pulp法に代表される3Mix-MP法が確立されました。
最後までおつきあい頂きありがとうございました。
(次回は、「歯の神経(歯髄)を残すことの重要性」についての予定です。)

