真田阿梅の墓 当信寺(宮城県)
墓石を削って飲む事で…
慶長20(1615)年の大坂夏の陣の際、真田幸村は、伊達政宗の家来、片倉重長に阿梅・阿菖蒲・おかね・大八4児等の養育を託した。
阿梅は重長の後妻となって78歳で亡くなったが、死が迫った時に「自分は西国生まれなので、西国の者が通る道の近くに葬ってくれるように…」と遺言したため、奥州街道沿いにある当信寺に墓を作ったといわれている。
墓石は如意輪観音像を象っており、その形が歯痛のため頬を抑えているように見えることから、虫歯に苦しむ人たちは、この墓石を削り、飲むと良く効くとの迷信が生まれた。
興禅寺の白山社(宮城県)
歯痛に悩む者が治癒を祈願
興禅寺は仙台市内から国道48号線で山形方面に向かう途中、熊ヶ根橋を過ぎて右折し、次の十字路右側にある。
境内の山門を入ってすぐ左側に「白山社」と刻字のある石祠がある。
白山神社と歯に関する故事
全国各地に存在する白山神社は「歯苦散」という語呂合わせから、歯の苦しみが散じる神様として深く信仰されている。
白山神社の石をお子様の「歯固め石」として利用される方も多く、赤ちゃんが産まれて百日目のお食い初めの儀には白山神社の箸とともに使うと無病息災のご利益があるとされている。
妙雲寺の鬼子母神(東京都)
「むし歯祈念の寺」
JR鶯谷駅から言問通りを歩いて12~13分。谷中墓地に通じる道を入ってすぐの左側に瑞應山・妙雲寺がある。
参道右手に目につく「むしば祈念の寺」と刻んだ自然石は、昭和初期に大阪在住の信者から寄進されたものである。
江戸時代から当寺に安置されている鬼子母神像は、虫歯除けに霊験が特に顕著として知られている。
現在でも日本国内はもとより海外在住の日系人からも、虫歯除けの祈祷を依頼する手紙が届けられるといわれている。
大道芸人も一役?
江戸時代の前期、富山から江戸に出て上野公園や浅草寺境内で独楽回し等の大道芸を行いつつ、歯磨き粉を売ったり、歯の治療を行っていた松井源水は、鬼子母神を信仰していたために一度も虫歯にならなかったといわれている。
光智山法泉寺(埼玉県)
秩父三十四ヶ所観音霊場の一つ
本尊は、「聖観世音菩薩」で蓮華の上に座っている。
胡粉(ごふん)で色彩してあり、袈裟(けさ)には切箔(きりはく)をほどこした室町末期の宋朝風(そうちょうふう)のもの。
法泉寺の夢想の楊枝
昔、武蔵国の恋ヶ窪に、口の中の腫れ物に悩まされていたという遊女がいた。彼女は観音を信仰し、毎朝修行僧に施しをしていた。ある朝、修行僧が1本の楊枝を遊女に与え、「この枝で口の中をそそぎなさい」と教えた。
僧の教えどおりにすると口の腫れと痛みが治ったと伝えられている。
このような縁起話もあり、法泉寺境内ではクロモジの木で作った楊枝が売られていた時期もあったといわれている。