私が神経を抜かないことにこだわる理由

突然ですが、あなたは歯科治療について、次のような疑問を持たれたことはありませんか?

 

  • 一度治した歯が、なぜまた痛くなるの?
  • ちゃんとハミガキをしているのになぜまた再治療になるの?
  • 神経を抜いた歯が割れて抜歯しなくてはならなくなった、なぜ?
  • 神経を抜いた歯に膿が溜まって腫れた、なぜ?
  • 結局、虫歯になると治らないものなの?
     

これらは私も歯科医になって、実際患者様の治療をしている中でずっと考えてきたことでした。

実は、私だけではありません。

多くの歯科医が私と同じ疑問を持ちながら、当たり前のように虫歯を削り取り、神経を抜く治療をし、再治療や抜歯といった悪循環治療を今でも繰り返しているというのが実情なのです。

神経を抜かれた歯が繰り返し悪くなる“負のサイクル(悪循環治療)”とは

世間ではあまり知られていないようですが、歯の神経にはたくさんの働きがあります。

 

  • 歯が割れるのを防いでくれる
  • 歯の中で膿が溜まるのを防いでくれる
  • 虫歯の進行を遅らせてくれる
  • 歯に起こった変化を知らせてくれる
     

安易に神経を抜いてしまうと、これらの働きがすべて失われ、再治療や抜歯になることが度々あります。
神経を抜いてしまうと、歯の寿命は約15年も短くなります。

また、20~25年後には抜歯になるというデータも出ています。
20歳で神経を抜くと40歳代には抜歯になる計算になります。

実はこの神経を抜く処置こそが負のサイクル(悪循環治療)の入り口となっているのです。

負のサイクル(悪循環治療)

 

神経を抜く

神経を抜いた歯が弱くなる(歯が割れる、膿が溜まる、また虫歯になる)

度重なる治療により修復できなくなる。(抜歯)

↓        ↑

周りの歯に負担がかかる。(虫歯や歯周病などのリスクが高まる)

この流れを断ち切ることこそ、私が「なるべく神経を抜かない虫歯治療」を始めたきっかけの一つでした。

 

あなたもご存知のとおり、日本は経済的には先進国です。
しかし、歯科治療に関してはかなり遅れをとっていることをご存知でしょうか?

現在日本人の平均寿命は、女性が86歳・男性が80歳でともに過去最高を更新しています。
その一方で厚生労働省の調査によると、80歳の日本人の平均残存歯数(残っている歯の数)はたったの6.8本です。

この数字が世界と比べるといかに少ないかを知っていただきたいのです。

(株)サンスターの調査によると、スウェーデンでは75歳で平均19.5本自分の歯が残っており、アメリカでは85歳で平均15.8本、これが日本では80歳でたったの6.8本です。

国により発表している年齢は違いますが、日本がいかに年齢と共に歯を失う可能性が高いかをご理解いただけるかと思います。

 

  スウェーデン アメリカ 日本
70歳 19.5本    
80歳     6.8本
85歳   15.8本  

曽祖母が導いてくれた歯科医への道

私の育った環境は両親が非常に厳かったせいか、物心ついた頃からやさしく接してくれる曾祖母にとてもなついていました。

いわゆる「ひいおばあちゃん子」だった私は、いつも曾祖母と一緒にいました。

90歳になる曾祖母の歯は既に1本も残っておらず、総入れ歯でした。

その曽祖母が「入れ歯が合わない」とよく言っていて、私は分からないながらも曾祖母の口の中と入れ歯を見ていました。

そして私は子供ながらに「大人になるとみんなこうなるのかな」と思っていました。
そんな曽祖母に対して、私は「大きくなったら自分が治してあげたい」と思うようになっていました。

この漠然とした気持ちが固まったのは高校生3年生、進路を決める時期でした。
元々医師家系だったこともあり自然と医師を志す気持ちは芽生えていましたが、医科か歯科どちらに進むべきか迷っていました。

そんな中、曽祖母(97歳)が亡くなり、幼い頃の曽祖母への想いが頭によみがえってきました。
「歯について悩む人の声を間近で聞いてきた私だからこそ、できることがあるのではないか・・。」そう思いました。

そして、私は歯科医師になることを決意しました。

病気は薬で治る!

実は私の父は皮膚科医です。

あなたも経験があるかもしれませんが、たとえば「顔にニキビ(アクネ菌)ができた」「足に水虫(白癬菌)ができた」とき、皮膚科ではその場所に薬を塗って治します。

しかし歯科では「虫歯(ミュータンス菌)」の部位に薬を塗って治すという考え方がありません。

なぜなら、歯科大学では昔から「虫歯は削り取るもの」という教育を受けてきたからなのです。

私はなぜ同じ「菌」の疾患にも関わらず、皮膚科では塗り薬で治すのに、歯科では皮膚科のように塗り薬で治すことができないのか、どうして歯を削ったり抜いたりすることしかできないのか、大学時代は虫歯治療のあり方にずっと疑問をもっていました。

そしてその思いは、私が歯科医になってからもますます強くなることとなります。

それは私が新米ドクター時代、先輩ドクター達の日々の診療を見ている中、神経を抜いた歯に後々膿が溜まって再治療となったり、神経を抜いた歯が割れて抜歯を余儀なくされたり、そんな場面を度々目撃することとなります。

つまり、歯の神経を抜いたがために、どんどん負のサイクルに陥ってしまっている悪循環治療の実態を目の当たりにするのです。

そして、同時に私が幼少期に目にした歯の抜けた曾祖母の口の中の情景と重なって見えてきました。

曾祖母も多かれ少なかれこのような経緯で歯を無くし、入れ歯で苦労したに違いない・・、と何ともやりきれない思いに打ちひしがれました。

その後、私は色々と調べていくうちに、この悪循環治療に陥っているさらなる原因を知ることとなります。

以下がその資料です。

管治療とは神経を抜いた歯に対し、根っこのお掃除をする治療のことです。

つまり上のグラフは神経を抜いた歯に根っこのお掃除をして、その後膿が溜まるなどの不具合を起こして再治療や抜歯になる確率を表したものです。

先進国の中で、またもや日本がワースト1となっています。

しかも断トツのワースト1となっており、当時の私はとてもショックを受けたことを今でもよく覚えています。

ではなぜ日本が断トツワースト1なのかおわかりでしょうか?
答えは日本だけ歯科医が受け取れる根管治療の治療費が極端に安いからなのです。

例えばアメリカでは根管治療の治療費は30万円です。これに対し日本では保険診療で行う根管治療の治療費は数千円という安さなのです。

つまり本来であれば、一時間以上じっくり時間をかけ、設備も整えて行うべき治療を日本の保険治療では行えないというジレンマがあるのです。

そしてもう一つ、お気づきになったかもしれません。

時間と設備を整えて根管治療を行っているアメリカでも再発率が30%もあるのはなぜ?という疑問です。
これもまた、悪循環治療に陥っている要因の一つで、原因は歯の構造にあります。

以下の写真をご覧ください。

黒く染まっている部分が歯の神経が通っている部分(根管)です。

良く見ると太い神経から複雑に枝分かれしているのがお分かりになるかと思います。

木の幹と枝の関係を連想していただけると分かりやすいかもしれません。

実は歯科医が根管治療として根のお掃除を行っているのは、太い神経の部分のみで、複雑に枝分かれしている細い根管は、物理的にお掃除する針が入らないため行えないのです。

つまり神経を抜いた時点で、枝分かれしている細い根管はそのまま放置され、神経が腐り、細菌の棲家となり、後に膿が溜まって腫れるなどの不具合を起こし、再発を起こしてしまうのです。

これが、時間や設備(マイクロスコープやラバーダム)を駆使してでも再発を起こしてしまう理由です。

当時の私は、「治療をしているのに患者さんにとって悪循環、そんな状態が良いはずもない」と思いながらも解決策すら見出せないまま、ただひたすらに最善の努力を尽くしながら教科書通りの診療を行っていました。

それから数年が経ち、私が当医院を開業した直後のことです。

歯科医になってからずっと定期的に購読していた、歯科医師専門誌に「なるべく神経を抜かず、薬で治す虫歯治療法」としてそれは紹介されていたのです。

「なるべく神経を抜かず、薬で治す新しい虫歯治療法」

「100種類以上の作用の異なる抗菌剤を調べた結果、ある3種類の抗菌剤を混ぜたものが、虫歯菌など全ての口腔内細菌に殺菌効果のあることが解明された。」

これが現実なら、長年私が虫歯治療のあり方について悶々と疑問に抱いてきたことから解放されることとなります。

内容は、やはり皮膚科で日々使用されている塗り薬と同じ考え方によるものでした。

「なるほど、やっぱりあったんだ!」

私は「長年探し求めていたものをやっと見つけた。」そんな気持ちでいっぱいになりました。

その後、私は本治療成功のカギである、細かい技術を習得すべく日々鍛錬しました。

あれから早や10年、現在当医院では「虫歯で神経を抜き、根の治療をする」というルーティンは、ほとんどなくなりました。

なるべく神経を抜かず、薬で治す虫歯治療とは?

薬で治す虫歯治療法とは、虫歯を極力削らずに3種類の抗菌剤(う蝕治療用抗菌剤)を塗って虫歯を無菌化する治療法です。

 

この考え方はむし歯に限らず、内科や皮膚科など細菌が原因で起こるすべての病気に共通して行っていることです。

 

この治療法はこれまでの削り取る治療と比較して2つの大きなメリットがあります。

  • 患者さんへの肉体的負担が少なくて済む

    ・歯を削る量が、これまでの治療より少なくて済みます。
    ・神経を抜かないので、悪循環治療に陥いらずに済みます。
    ・治療を2~3回で終わらせることができます。
     
  • 患者さんへの経済的負担が少なくて済む

上記の比較表を見てお分かりの通り、神経を抜いてしまった場合、なるべく神経を抜かない治療をした場合と比較して実に3倍の費用がかかっていることがわかります。

また最近では、根の治療(根管治療)専門に行っている医院もあるようですが、それと比較すると41倍もの費用がかかっていることがわかります。

保険外の根の治療は確かに先進的な設備を完備しており、より質を重視した治療を行うことが可能です。

しかし、神経を抜いてしまうことに変わりはなく、先述した時間と設備を整えて根管治療を行っているアメリカでも再発率が30%であることからも、残念ながら再発リスクをゼロにすることはできません。

さらに神経を抜いた歯は悪循環治療への入り口ですので、後々膿が溜まって再治療になったり、歯が割れて抜歯になった場合には更に費用がかさむことになります。

本法であれば、なるべく神経を抜かずに済みますので上記のような悪循環へ陥いることがありません。

これから虫歯治療をお受けになるあなたへ

他院で「虫歯が大きいので神経を抜かなければなりません」と説明を受けたり、「虫歯治療は痛いから歯医者さんに行くのが怖い」と感じられてるあなたに。

実際、虫歯治療を始める前に私の治療へのこだわりを理解していただきたく、このページを作製しました。

「虫歯は全部削り取って、神経を抜いて詰め物やかぶせ物をする」という従来の治療法では、数年後に再治療や抜歯などの悪循環治療を繰り返してしまうことが度々あります。

これは実際に虫歯で神経を抜かれ、後に歯がボロボロに割れてしまった患者さんです。
神経を抜かれた歯の全てがこのようになるわけではありませんが、神経を抜かれた歯は確実にもろくなります。
枯れ木が水分や栄養の供給ができなくなり、もろく腐りやすくなってしまうように、歯も神経を取り除いてしまうと、もろく腐りやすくなります。
こうなってしまうと、抜歯して入れ歯やブリッジ、インプラントなどで歯を補っていくこととなり、「負のサイクル」つまり再治療や悪循環治療に陥りやすくなってしまいます。
これが前述したように、80歳で残っている歯の平均が6.8本という結果の一因となっています。

私も歯医者さんのイメージは、今のあなたと同じように「虫歯をドリルでガリガリ削って治す」というものでした。

しかし、今は虫歯菌を薬で治すという新しい概念で行う虫歯治療も可能になりました。

虫歯または虫歯ではないかとお悩みの方、神経を抜きたくないと思われている方など、一人で悩まず是非ご相談ください。

私は、なるべく神経を抜かない虫歯治療法で悪循環治療からあなたの歯を守り、これからもご自身の歯で食事を楽しんでいただき、健康をサポートしていきたいと考えています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。              院長より