虫歯があると宇宙飛行士になれない?
治療してあれば…
打上げの前に、外れそうになっている詰め物はないか、飛行中に悪化しそうな歯はないか、歯科検診を受ける。
虫歯があったり詰め物があっても、治療をしてあれば問題はありません。
もしも宇宙で歯が痛くなったら!
まず痛み止めの薬を飲み、それで痛みを抑えることができない場合には、フライトサージャン(医師)の指導の下、他の宇宙飛行士が歯を抜く可能性がある。そのため、宇宙飛行士は地上にて歯を抜く訓練を受けている。
無重力の状態で歯を削るような治療をしたら、水分や削った粉が飛び散ってしまい、船内の機械が壊れてしまう…!現状では歯を削る装置は宇宙にない。
小さな虫歯が大問題!
異なった圧力の中での虫歯が…
宇宙空間に限らず、地上からの高度が高くなれば気圧は下がる。虫歯などで歯に空洞があれば、相対的にその空洞の気圧は高いことになり、中の空気は膨張し内側から歯を圧迫する。その際痛みが生じる場合がある。
例えば宇宙服を着て船外活動をする時でも、宇宙服の内部は0.3気圧に保たれており、歯の空洞内部は大気圧の1気圧であるため、3倍以上に膨張しようとすることになる。
特異な環境でのストレス
歯痛には心因性や神経障害性のものも珍しくない。宇宙空間という特異な環境がもたらすストレスが、歯の痛みを増大させる可能性も高い。
もし宇宙飛行士になる夢があるのなら、虫歯は今のうちに治しておくように!
宇宙食に求められる「歯ごたえ」
チューブ食から改善
有人の宇宙飛行が始まった当初、宇宙食は当時最先端の栄養学を駆使して開発された、栄養バランス満点のチューブ食であった。しかし、米ソ宇宙競争による長期滞在で、宇宙食を摂らざるを得ない状況に不満を持ったある宇宙飛行士は、船内に勝手にターキー・サンドイッチを持ち込んだ。
「噛む」ことは人間の本能
上記の行為は、機器の汚損などにより宇宙船を危機に陥れる可能性があり問題となったが、食事が士気に影響するという主張は認められ、以後の宇宙食の改善につながった。また、人間には「歯ごたえのある食材」を 噛みしめたいという、本能的欲求があることが実感された。
宇宙での歯磨き
うがいに一苦労
無重力でも、歯ブラシと歯磨き粉を使い、普通に歯を磨くことは可能だが、口をゆすいだあとの水の始末が問題。
スペースシャトル内に洗面台はなく、はき出した水は、球になって空中を漂う。この水分が機械の中に入ると、回路がショートして機械がこわれる可能性がある。宇宙飛行士はそのまま水を飲み込んだり、タオルを口に入れて水を吸わせるなどの工夫をしている。
飲める成分の歯磨き粉
水がなくても使用出来ることから、宇宙以外でも災害地や介護現場等での使用が期待されている歯磨き粉が開発され、国際宇宙ステーション(ISS)の搭載候補品にもなっている。